視覚 OBSで写真の色補正 ミニチュア写真の作り方?

私は絵とか音楽の勉強を全然してこなかったので、覚えたことはちょっとずつ試してみようと思います。

今回は写真の色補正。ミニチュア効果を実際に体験してみました。

 

 

1.目的

みなさんご存じの桜井政博さんが解説している『桜井政博のゲーム作るには』です。

いつもお世話になっております。

その中から『ミニチュア効果 【グラフィック】』が今回の目的です。

www.youtube.com

関連する動画として、『スケール感は正しく合わせる 【グラフィック】』も。

www.youtube.com

色味を変えると、スケール感や世界観が変わって見えるというものです。

「へー、そうなんだー。たのしそう。」という感想です。

・ミニチュア写真の作り方

①俯瞰写真を撮る

②上下をぼかす(被写界深度・フォーカス)

→接写している雰囲気を出すため。

③彩度を上げる

→低彩度:白~灰~黒に近くなる、高彩度:赤・青・緑などカラフルになる。最も高い彩度の色を純色と言う。純色のモノ、例えば真っ赤なモノは光の影響を受けにくく、光を当てても影や光の反射が起きにくいため、作りモノ感=ミニチュア感が生まれる。

④青みを下げる

→空気遠近感を抜くため。空気遠近感は「近くの山は緑色なのに、遠くの山は青くかすんで見える」あの現象。つまり、青さが抜けるほど、手前にあるように感じるはず。

 

ちょっと疑問に思いました。

・俯瞰写真でなかったらどうなるんだろう?

・色の情報が少ない写真ならどうなるんだろう?

この季節。雪はいくらでもあるので、全体的に色の情報が少なくなるはず。

 

元の写真:雪玉わんたん

次の写真は私が作った「雪玉わんたん」です。これを元の写真とします。

「白い背景に、白いモノを置くのはどうなの?」という話は置いといて。

もう少し温かみをもった写真にしたいですね。

 

2.使ったもの

使ったものは次の2つ。

・写真

・OBS

OBSに標準搭載されているエフェクトフィルター「色補正」だけで試してみました。

OBSだけの問題なので、これで日ごろの配信とか動画の見栄えが少しだけ良くなるかもしれません。

色の変化だけ見たいので、今回は桜井さんが教えてくれた「②上下をぼかす」は操作方法からは除外します。

 

3.加工の変遷

3.1.元の画像

見比べやすくなるように、元の画像をここにも一つまみ。

元の数値

・彩度:0.00

コントラスト:0.00

・色の乗算:H0・S0・V255、R255・G255・B255

 

3.2.彩度

彩度:0.50

ちょっと温かくなっているような気がします。

鼻のナンテンの赤い実とかが分かりやすいかも。あと枝の色味とか。

作りモノ感までは出ていないかな?

彩度:1.00

鼻に光沢が出始めている。

枝の色味が明るくなり、茶色よりもオレンジに近くなってきた印象です。

彩度0.50と彩度1.00ではぱっと見の印象に違いはありませんが、元の写真からはだいぶ印象が違います。温かくなってきた。

彩度:2.00

作り物感や加工感が出始めている感じですね。

影の部分にも色が付き始めています。

彩度:3.00

彩度2.00と彩度3.00も明らかに違う。

目や口の枝をペンか何かで後付けしたような印象まであります。

ちょっとだけ氷菓子みたいな印象があります。ナンテンの実がサクランボに見えてくる。おいしそう。今のところ1番好き。

彩度:-0.50

逆に彩度を下げてみる。

画面全体が暗くなりました。1番明るい色が黒に近づいたからなのかな?

ノンフィクションやサスペンス、ドキュメンタリー風。名シーンの予感。

シリアスな印象をもたらしますね。

彩度3.00と比べると、ここに何十年も前からいたような貫禄や風格すら感じます。

達人は彩度を低くすると、それっぽい印象になるかもしれません。

シリアスな場面や人には彩度が低い服装。

コミカルな場面や人には彩度が高い服装。

・・・ファッションってそういうことなのか!

 

3.3.明暗(コントラスト)

明るいところはより明るく、暗いところはより暗くする。明暗の差を大きくさせる。

やってみた感じでは、雪景色のように色の情報が少ない写真にコントラストを加えるのは有効かもしれませんね。

影がはっきりしてきて、輪郭や立体感が増しているような印象を持ちます。

コントラスト:0.50

これだけでも印象が違います。

明暗に差があるので、背景と雪玉わんたんとの境界線が見えやすい。

背景が同色よりも、陰影によってはっきり見えるかが大事な気もしてきます。

コントラスト:1.00

画面全体が明るくなった印象です。

雪が多い写真のため、さらに白くなったからでしょう。

これくらいの明るさなら親しみを感じます。

コントラスト:2.00

ちょっとまぶしいかな。たぶんモニターの設定にもよると思いますけど。

今までの加工で背景と雪玉わんたんとの境界線が1番分かりやすいことは良いことだとは思います。

しかし、こういう画面はチカチカして、疲れやすいです。

人によっては頭痛がするかも。

逆にそうでもない人もいるかも。

あと、1つ1つのパーツが強調されすぎている分、「まとまり」よりも「パーツ」で認識してしまう人もいるかも。

例えば、その赤いのは「鼻」なのか、「実」や「丸い赤」なのか。「実」や「丸い赤」で認識して注目すると、「耳」まで視野に入らないと思います。

ここまでコントラストが強いと、長時間画面を見続けるようなゲームにはあまり採用したくないかな。サイクルが短いゲームなら問題ないかも。シレンは長時間側ですからね?

 

3.4.色の乗算(青みを下げる)

「元の色と指定した値で掛け算をして、255で割った色に変換する」というのが色の乗算らしいです。

色の乗算についての詳細は下記が分かりやすかったです。

itstudio.co

 

色の乗算では、次のような変換を行っています。

結果の色=元の色(0~255)×指定した色(0~255)÷255

 

性質が2つあります。

①色を乗算した結果は、黒に近づきやすい。

②255で掛けた色は、元の色と同じになる。

光の三原色であるRGB(赤・緑・青)は数値が大きくなるほど白くなり、数値が小さくなるほど黒くなっていきます。

「色の乗算は1以下の分数の掛け算である」ことを理解すれば、割合で特定の色を減らせるという理屈です。

 

これで何ができるか?

まさに「青みを下げる」ことができます。

RGBのうち、R(赤)とG(緑)は255/255を掛け、B(青)は分数の掛け算によって青みだけを減らせるわけです。

 

この分数の掛け算に補色を使えば、特定の色の色味を下げることができます。

ここで、HSV(色相・彩度・明度)のH(色相)の数値を使うのが早いです。

色相は純色をぐるっと1周させて並べた値です。

OBSの場合、0~359で1周します。1周360度ということです。

特定の色と±180違う値をH(色相)に入力してみてください。補色になっているはずです。

ちなみに、RGBから補色を求める計算式は次のようになるそうです。

補色のR=元の色のRGBの最大値+元の色のRGBの最小値-元の色のR

補色のG=元の色のRGBの最大値+元の色のRGBの最小値-元の色のG

補色のB=元の色のRGBの最大値+元の色のRGBの最小値-元の色のB

 

補色をそのまま乗算しても画面全体が補色の色に染まっただけになるでしょう。

今回は青みを下げたいので黄色(R255・G255・B0)を指定すると、次のようになります。

色の乗算:R255・G255・B0

B(青)に0が掛けられたために、青が完全に脱色されてしまっています。

もっと雪の白さを残したいはずです。

青を完全に排除することが目的ではなく、ほんの少しだけ下げたいのです。

ということは、青の分数の掛け算に使う分子の値を増やす必要があります。

ここで便利なのがHSV(色相・彩度・明度)のS(彩度)の数値です。

低彩度ほどモノクロに近くなり、高彩度ほどカラフルになる数値でした。

彩度の変更は混色の割合そのものを変更することなく、モノクロ~カラフルさの度合いを変更できます。

 

青の補色である黄色のRGBがR255・G255・B0のとき、HSVはH60・S255・V255です。

S(彩度)を15(約1/16)まで下げると、ちょっとだけ青みが減ります。

これで「青みを下げる」という目的はだいたい達成です。

色の乗算:R255・G255・B240、H60・S15・V255

元と比べて若干暗くなり、黄色がかかったような感じですが、画面全体の青みがなくなりました。

 

ちなみに残るV(明度)は明るさの度合いを表します。

低明度ほど黒くなり、高明度ほど白くなります。

Vが255のとき、下げるしかありません。

下がると全体的に暗く、黒に近づきます。

黒は色の乗算では0になるので、0/255を掛けた結果、画面が真っ暗(真っ黒)になります。R255・G255・B0の状態で、V128(約1/2)にした場合が次になります。

色の乗算:R128・G128・B0、H60・S255・V128

画面全体が黄色くなったまま、暗くなりました。

1番明るい色であった赤と緑が半分の明るさになったためです。

 

というわけで、青みを下げるために補色である黄色を作り、あんまり黄色くならないように彩度を下げて色の乗算を行いました。

色の乗算:R255・G255・B224、H60・S31・V255

S(彩度)を31(約1/8)まで下げた場合です。

S(彩度)を15(約1/16)まで下げた場合と比べると、「青みを下げた」というより、「黄色くした」印象があります。

しかも画面が若干暗い。

色の乗算をするときは彩度を低くし、青みをあんまり下げすぎないようにしたいところです。隠し味みたいな?

色の乗算:R255・G255・B248、H60・S7・V255

S(彩度)を7(約1/32)まで下げた場合です。

S(彩度)を15(約1/16)まで下げた場合と比べると、青みが残っている印象があります。

しかし、元の画像と比べると、青みがしっかりとれています。

画面も自然な明るさのままです。

色の乗算を使うなら、これくらいでいいのかもしれない。

 

3.5.複数の組合せ

複数の加工を組み合わせてみました。

パターン1:彩度3.00、コントラスト1.00、色の乗算R255・G255・B248、H60・S7・V255

これまでで良さそうなパターンの全部乗せ。

やっぱり氷菓子みたい。

今の私が求めているのかもしれない。

パターン2:彩度1.50、コントラスト1.50、色の乗算R255・G255・B224、H60・S31・V255

色の乗算で青みをしっかり下げた分、暗さと黄色さが出てしまうので、コントラストを上げてしっかり明るさを確保。

温かみがある感じの仕上がり。こっちのほうが好きって人もいそう。

一応ミニチュア写真の作り方に沿っている加工のはず。

パターン2はパッとした光が抑えられています。鼻の光沢が分かりやすい。元の画像よりは明るいのですが、画面全体の色味に均質さがあり、パターン1と比べればおもちゃ感があるように感じます。

ミニチュア写真と言う意味では、見切れている右上の雪玉チンタラが立体的になり、背景からキャラクターとして手前に出てきた印象もあります。

パターン3:彩度2.25、コントラスト1.25、色の乗算R255・G255・B255、H0・S0・V255

色の乗算に白を使う=色の乗算の効果を切ってみた。

彩度とコントラストはパターン1とパターン2の中間で。

どっちかと言えばパターン1に近い印象ですね。

パターン1とパターン3は見分けがあまりつきません。

パターン1の彩度が高いためか、ナンテンの実の赤が口の枝に与える影響が若干大きいくらいかな?パターン1のほうが、赤がちょっとにじんで見えたり、口の枝の右下の反射光が強くなっている感じ。

 

雪の白さを表現したい時は、今回使った色の乗算は不要かもしれません。

また、今回使った色の乗算では写真の黄ばみのようにも感じてしまい、写真の品質の悪さのような印象を抱かせるかもしれません。うまく使えば、陰影を出し、温かみのあるレトロ感が出るかも?

色そのものである色相を変えてしまうのは印象に大きな差が出ます。

冷たい印象にしたいのか、温かい印象にしたいのか。

色の乗算は、目的に応じて使い分けたい効果ですね。

 

今日の私の好みはパターン3なので、パターン3を採用します。

・・・ちょっとおいしそうに見える。

 

4.できたもの

というわけで、加工前後の「雪玉わんたん」と「雪玉チンタラ」です。

全部同じ加工を施しています。

エフェクトフィルター>色補正:彩度2.25、コントラスト1.25、色の乗算R255・G255・B255、H0・S0・V255

雪玉わんたんと雪玉チンタラ1

雪玉わんたんと雪玉チンタラ2

雪玉わんたん

雪玉チンタラ

こうして見ると、同じ加工を適用しても、色味に結構な差が出てくるんですね・・・。

雪玉チンタラは元々青みが低い感じです。

色の情報は少ないと思うんですけどね。これはおもしろいし、奥が深いなあ・・・。

色の情報が増えると、もっと繊細な微調整が必要になるんだろうなあ・・・。

 

・雪玉を作った感想

最近Blender触ってないな・・・と思いました。

雪玉を触って、3Dの感覚が少しだけ戻った気がします。意外と覚えている感じで安心。

雪玉なので思うように加工できなかったのと、顔のパーツがどんどん落ちていって難しかったです。

チンタラに足もつけたんですけど、さすがに見えない・・・というより当たり前のことなんですけど、白い背景に白いモノを置いちゃダメなんですよ。

 

おしまい。